みなさんはどんな本を読みますか?
小説?ビジネス書?自己啓発本?漫画?
こう言うとだいたい…
「歴史とか苦手だから…」
「難しそうで無理。」
と私の周りでは大体の人が興味をなくして会話終了。
いやいや、時代小説とは坂本竜馬や宮本武蔵などの歴史上の人物のストーリーを書いたものではありません。(それはそれでもちろん面白いけど)
ということで時代小説とはなにか、その魅力とはなにかについて書いていきます。
まず、時代小説とは、時代は江戸などではあるけど架空の人物、架空の物語なのです。
ココがポイント
時代が違うだけで普通のミステリー小説だったり恋愛小説だったりするわけです。
時代小説と歴史小説のちがい
歴史小説
歴史上実在した人物のストーリーで、軸はほぼ実際あったことに忠実
(ノンフィクション)
時代小説
江戸時代あたりまでの時代設定であるだけで、架空の人物が登場する自由な物語
(フィクション)
代表的な歴史小説
- 「竜馬がゆく」司馬遼太郎
- 「宮本武蔵」吉川英治
このように、タイトルにその人物の名前が入っていることも多く、人物史のような感じ。
もちろん、堅苦しい教科書のようなものではなく、作者がおもしろおかしく書いていることもあります。ただ、やはり歴史には忠実。
代表的な時代小説作家
- 池波正太郎
- 佐伯泰英
- 藤沢周平など
実在する人物が登場していても、周りの人物が架空の人物だったり歴史に沿っていない場合は時代小説になります。
時代小説のジャンル
時代小説と言っても、色々なジャンルに分かれます。
- 捕物帳:いわゆる推理小説。
時代小説によくある主流ジャンルで、与力や同心が登場することが多い。 - 市井小説:普通の商人や農民や主役の人情物語。
恋愛があったり、家族の話だったり、時代が違うだけで共感できることも多い。
その他、
- 剣豪小説:剣豪(侍)を主人公とした物語。チャンバラ系。
- 伝奇小説:時代背景や実在の人物を使いながら、架空の話を描いたもの。
- 股度物:任侠、アウトローの世界を描いたもの。
戦国時代後の江戸時代を舞台にしたものが多く、この時代は200年以上続いた平和な時代。実際に侍が刀を抜くことも少なかった時代です。
作家さんが描く人情溢れる話は本当に魅力的です。
時代小説が難しいと感じる理由
確かに、最初は見慣れない言葉がたくさん出てきて思うように読み進めることができません。
ただそれを超えたら・・・慣れます!
個人的には、江戸のことばを覚えていくこと自体がひとつの楽しみでもあります。
確かに、初めて時代小説を読んだ時は頭を使いました。
おとくさん、おさださん、おふじさん、おとらさん、、、、
煮売り屋のおかみさんは誰だっけ?
助右衛門、助左衛門、助太郎、助次郎、助三郎、、、
お父さん誰だっけ?
という風に特に名前には戸惑いました。
今ではかなり慣れましたが、未だに何ページも戻って確かめることもしばしば。まあそれは時代小説じゃなくても一緒かもしれないですが。
私の好きな時代小説作家と本のレビュー
私が好きな時代小説作家とおすすめの作品をあげました。あらすじはわかりやすく私のことばで書いています。
宇江佐真理
切なくて心にずっと残る作品が多いです。宇江佐さんの作品はほんとうに心がもっていかれます。
雷桜のあらすじとレビュー
「この1シーンために全部のストーリーがあったんだ」
と思える、心に焼き付くシーンがあります。
江戸から少し離れた村で庄屋のかわいいかわいい一人娘、遊が誘拐された。 見つからないまま十数年が過ぎてしまう…。年頃になった兄は江戸の御三卿清水家(かなり位が高い)の中間として抱えられるが、清水家の当主、斉道はわがままですぐにキレる扱いづらいお殿様。兄は江戸で殿の扱いに悩み、奮闘する。一方、村では「狼少女」の噂が昔からあり実はその正体は…
とてつもなく切なく、綺麗なお話です。
あさのあつこ
物描写や回想がやや多く感じますが、物語が奥深く切ない恋愛も含みます。
弥勒シリーズのあらすじとレビュー
累計60万部を超えている、人気シリーズ。現在は第9巻まで出ています。
小間物問屋・遠野屋のおかみ、おりんが水死体で発見されるところから始まる。ただならぬ”陰”を持つ遠野屋主人・清之助、非道な同心・木暮信次郎、誰からも信頼される熱い岡っ引・伊佐治親分が色々な事件に関わって解決していく。それぞれのキャラクターが個性的なのが魅力。
個人的には伊佐治親分が大好きです。お父さんにしたい。
浅田次郎
とにかくしぶい!漢!難しい表現も多いですが、何度も読み返したくなる部分がたくさんあります。
一路のあらすじとレビュー
参勤交代の話。ただ、江戸時代も後半になると本来の目的は忘れられ、ただの習慣として行われていました。が…
江戸住まいで自分の故郷を知らない小野寺一路は父の急死により思わぬタイミングで家督を相続、交代寄合蒔坂家の御供頭として、江戸への参勤行列を差配(今でいうマネージメント)をすることに。何も父親から教えられていない一路は古い書物を唯一の手がかりに色々邪魔されたり巻き込まれたりしながら奮闘するお話。主尾よくやりとげられるのか。
漢字がずらっと並んでいたり、役職が難しかったりと一見とっつきにくい小説ですが、内容は笑いあり涙ありですっかり引き込まれました。唯一繰り返し読んでいる小説です。
高田郁
一緒に頑張りたくなる、ひたむきな話が多い。きちんとひとつひとつ問題を解決していくのでもやもやが残りません。
八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)
みをつくしシリーズのあらすじとレビュー
こちらはシリーズもので全10巻。北川景子、黒木華主演でドラマ化され、また2020年10月には松本穂香が主演で映画化。
大阪出身の澪はある事情があり、江戸に出てきて「つる家」という料理屋で料理人として働くことに。上方(関西)と江戸(東京)の味の好みの違いに苦労しながらも成長し、色々な人を幸せにしていくストーリー。とにかく澪がひたむきに努力する姿に感動。自分もめげずに頑張ろうと思える作品。
そしてなにより、「とろとろ茶碗蒸し」など文字だけなのに出てくる料理が本当に美味しそう!レシピも載ってます。
平岩弓枝
私が読み続けている安定のシリーズ。登場人物に親近感が沸きすぎて、本を開くとすぐに世界に入れます。
御宿かわせみのあらすじとレビュー
頑張りすぎなくても気軽に読める時代小説。続編も合わせるとかなり長く楽しめるシリーズです。
旅籠「かわせみ」を舞台にした人情捕物帖。御宿かわせみの女主人・るいと、幼なじみでひとつ年下の恋人の与力の次男・神林東吾を中心とした物語。東吾の友人、同心・畝源三郎が扱う事件を次々と解決していく。事件以外にも恋愛、家族、怪奇現象など、色々な話があり、全体としては続いているものの、1話1話が完結しているのでとても読みやすい。
とにかく東吾がかっこいい。私が思うに、作者が理想の男性を描いたのではないかと。(個人的な見解です)
宮部みゆき
私が時代小説にはまるきっかけになった作家さんです。難しい表現などは少ないので最初の1冊に選ぶのもアリ。
ぼんくらのあらすじとレビュー
時代小説デビューにぴったり。キャラクターが個性的。ぼんくら→日暮らし→おまえさん と続くシリーズです。
江戸・深川の鉄瓶長屋の人たちを中心に色んな事件がおこる。そのエリアを担当している同心・井筒平四郎が解決していくミステリー。平四郎は侍なのにとっても気さくで長屋の住人たちも平四郎には気軽に接する。ただ、ぼんくら。この平四郎をとりまく人たちが本当に個性的でおもしろい。
また、宮部みゆきさんの作品なのでミステリー小説としての質ももちろんとっても高いです。
私はこの小説を最初に読み、完全に時代小説にはまりました。
諸田玲子
女性作家らしい恋愛の描き方が絶妙。特に女性が読むとぐっと来る場面がたくさんあります。
狸穴あいあい坂のあらすじとレビュー
こちらも、不可解な事件の謎を解いていく物語ですが、恋愛部分も多く描かれています。
娘盛りの17歳の結寿(ゆず)は、元火盗改の祖父と麻布狸穴で暮らしている。結寿は八丁堀同心・妻木と出会い、祖父に内緒で会うたびどんどん惹かれていく。しかし、火盗改方と同心はライバル同士。本来であれば惹かれ合ってはいけない関係なのだが…
恋と捕り物両方を十分楽しめる、人情深いお話です。
まとめ:まず最初の1冊を手に取ろう
私はまだまだ年季が入っている時代小説読者ではないので、次にどんなおもしろい小説に出会うか楽しみで仕方がないです。
読書はほぼ無限の楽しみですね。
これからも「おすすめ(私の好きな)時代小説」や「時代小説でよくつかわれる用語」などについて書いていきたいと思っています。
気になっているけどまだ手を出したことがない、という人は是非読んでみてください。
あなたの読書の世界が広がることは間違いありません!